8月15日のぼくの誕生日を前にして、期せずして自らの過去を振り返る本を読んだなあというのが、読了後の一言。1926年生まれの鶴見良行はぼくにとって同時代の人ではなく、「雲の上」の人です。『朝日ジャーナル』で「マングローブの沼地で」の連載を書き、ベ平連で小田実や従兄弟の鶴見俊輔のそばにいた人。当時、彼らをぼくはヒーローとしてみていました。米国生まれの鶴見良行は、米国からのものの見方に嫌気がさし、アジアを自分の足で歩き始めるのですが、行動をともにしたのは村井吉敬。ぼくが大学に入った頃、アジア研究者としてホットな話題を提供し続けていた人で、その村井が本書のあとがきを書いています。・・・・そして、ここが重要なのですが、仏文科の学生だったぼくは、アジア研究に目を向けなくてもすむ説明を探していたということを本書を読んで思い出したのです。 学生運動の名残は十分にあり、公害反対運動にシビアさがある時代、そ