なぜそのようなことが起きるのか、都内でメンタルクリニックを経営する精神科医・江越正敏先生は次のように考えています。 「孤独が寿命を縮めるという論文は珍しくありません。2012年のカリフォルニア大学の研究でも、60代以上の高齢者において孤独が死亡率を1.7倍高めることが報告されています。また、2014年のシカゴ大学のカシオッポ博士の研究でも、孤独感が交感神経の緊張の増加、炎症制御の低下、睡眠の減少を引き起こすと報告されています」 「孤独感というのは純粋に身体に影響するのです。別の研究では、孤独により、全身の炎症が強まるとの報告があります。炎症とは、風邪のときに喉が赤くなって、痛みを感じる状態のことです。風邪を引いて喉が痛くなっても数日すれば痛みや赤みは引きますよね。これを炎症が引いたと表現します。 風邪による炎症は一時的ですが、孤独による炎症はずっと続いてしまいます。孤独が続くと体がずっと風