ところで、ここまで循環小数や10進法/2進法について見てきた中で、黒子として中心的な役割を果たしている、ある計算の存在が浮かび上がってきます。それは「割り算」、わけても「余りのある割り算」です。 たとえば、有理数と循環小数では、分子を分母が割り切れずに、余りが元の値に回帰する地点が存在するために、循環節が無限に繰り返されていました。また、10進法/2進法の位取り記数法では、束ねる単位の基数から割り切れずにあぶれた余りが、各桁の値として次々に取り残され、表に浮かび出ることで、数全体のボリュームがみごとに表示される仕掛けです。「10進法と2進法の切り替え」とは、この割る数と余りを一回バラして別の体系へと組み換える作業そのものでした。10進法が0から9までの数字を使うのは、10で割るときの余りがその10パターンだからであり、2進法で使う数字が0と1の2つしかないのは、2で割る割り算の余りが0と1