今年の10月3日、ドイツが第一次世界大戦の賠償金を完済したというニュースが流れた。2007年にノーベル経済学賞を受賞したゲーム理論家のロジャー・マイヤーソンが、最近ゲストブロガーとなったCheap Talkという共同ブログで、このニュースに関するNYT記事を入り口として、ケインズがこの賠償金に果たした役割について改めて考察している。 この賠償金に対するケインズの批判は良く知られている。実際、その舌鋒鋭い批判が、ケインズを当時最も有名な経済学者にしたと言える。彼は1920年の「平和の経済的帰結」と1922年の「条約の改正」で、ドイツの戦前のGDPの3倍にも及ぶ賠償金を課すことの愚かさを説いている。 しかし、賠償金の巨額さを非難したケインズも、賠償期間の長さについては問題にしていない。それもそのはずで、当時前例が無かった長期に亘る賠償金の支払いを立案したのは、他ならぬケインズ自身だった、とのこ