わたしは男性に好意を持たれたことがない。 子供の頃から大人に至るまで、好きな人に好きになってもらうことも、好きでない人に好かれることも全くなく、ベタ凪のような青春時代を過ごしてきた。 恋は叶わず、好きな人は自分でない人を好きで、誰かに好きだと言ってもらうこともなかった。 二十代後半でようやく恋人が出来たが、そんな青春時代を経てきたためかたまたま偶然奇跡的に奇特な人が現れたというだけで自分はもともとは男性に相手にされるはずのない人間だという思いが拭えない。 こっぴどくふられたという経験もなければ、痴漢やセクハラなどにあったこともない。本来それらは喜ぶべきことだが、男性にとことん空気のように思われるタイプなのだなと思うばかりだ。 同じグループに属するはずの友人たちに次々恋人ができていくのを祝福しながら、彼女たちと自分を隔てるものがなんなのか悩み続けた。 世の恋愛事情からひたすらに村八分にされて