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  • 父親への精神ストレスが子供の代謝に影響する機構を解明

    理化学研究所(理研)開拓研究部眞貝細胞記憶研究室の成耆鉉協力研究員、石井俊輔研究員らの共同研究グループは、モデル生物ショウジョウバエを用いて、父親への精神ストレスが生殖細胞でエピゲノム[1]変化を誘導し、それが精子を介して子供に伝わり、子供での遺伝子発現と代謝の変化を誘導することを明らかにしました。 研究成果は、「親の環境要因が子供の成人病などの疾患発症に影響する」という胎児プログラミング仮説[2]のメカニズムを明らかにするもので、生活習慣病などの発症予防に貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、父親ショウジョウバエに強い精神ストレスの一つである拘束ストレスを与えると、子供の解糖系[3]などの代謝系遺伝子の発現が変化すること、転写因子[4]dATF-2[5]変異体の父親ショウジョウバエを用いると、発現変化が起きないことを見いだしました。拘束ストレスにより、父親の体細胞組織で

    父親への精神ストレスが子供の代謝に影響する機構を解明
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    t_f_m 2024/06/07
    2020年5月の記事 / 国内研究でも父親由来の話出てるな。これのモデル生物はショウジョウバエだけど
  • 神経幹細胞の多様な遺伝子発現と分化能の分子基盤

    理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 神経幹細胞研究チームの影山 龍一郎 チームリーダーらの共同研究チームは、神経幹細胞は未分化であるにもかかわらず、遺伝子発現パターンが分化細胞状態にまで連続的に変化することを発見しました。 研究成果は、神経幹細胞に特徴的な性質である多様な細胞を生み出す能力(多分化能)の分子基盤の理解に貢献すると期待されます。また、不連続な細胞分化過程において遺伝子発現は連続的に変化することが知られていますが、その不一致性の理解にもつながります。 今回、共同研究チームは、マウスの大脳形成期において神経幹細胞が細胞分裂を経て中間前駆細胞に分化する過程の遺伝子発現変化を調べました。神経幹細胞では転写因子[1]Hes1が発現し、中間前駆細胞ではHes1の発現はなくなり別の転写因子Tbr2が発現します。しかし、神経幹細胞の遺伝子発現パターンを詳しく調べたところ、Hes1が

    神経幹細胞の多様な遺伝子発現と分化能の分子基盤
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    t_f_m 2024/05/21
  • RNAの高次構造をほどく分子機構

    理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 生体分子動的構造研究チームの嶋田 一夫 チームリーダー(バイオ産業情報化コンソーシアム(JBIC)特別顧問)、外山 侑樹 研究員の研究チームは、RNAヘリカーゼ[1]の一種であるDEAD-Box RNA helicase 3 X-linked(DDX3X)[1]タンパク質がRNAの複雑な高次構造[2]をほどく仕組みの一端を明らかにしました。 DDX3Xの機能不全はがんの一種である髄芽腫(ずいがしゅ)[3]などの疾患の要因になることが知られています。研究成果は、これらの疾患の分子メカニズムの理解や新たな分子機序を持つ治療法の開発に貢献すると期待できます。 DNAから転写されることで生じるRNAは、立体的に折り畳まれたさまざまな高次構造を形成することによって、RNAにコードされたタンパク質の翻訳速度や、他のタンパク質との相互作用、細胞内における局

    RNAの高次構造をほどく分子機構
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    t_f_m 2024/04/26
  • 手足の再生能力を取り戻す発生再起動制御因子を発見

    理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 発生幾何研究チームの森下 喜弘 チームリーダー、川住 愛子 学振特別研究員RPD(研究当時)、李 尚雨 技師らの共同研究グループは、hoxc12/hoxc13遺伝子[1]が、無尾両生類[2](カエル)の四肢再生時に発生プログラムを再起動させる際の重要な制御因子であることを発見しました。 研究成果は、両生類の再生機構の理解とともに、再生能力が著しく低いヒトを含む哺乳類の再生能力を向上させる手法の探索につながると期待できます。 無尾両生類は、幼生期は手や足が切断されても元通りになるなど高い器官再生能力を有しますが、成体になると低下するというライフステージに依存した再生能力を持ちます。再生能力の経時的変化の仕組みや成体再生能力の回復方法について多くの研究がなされてきましたが、いまだ解明されていません。 今回、共同研究グループは、四肢発生時と再生時の

    手足の再生能力を取り戻す発生再起動制御因子を発見
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    t_f_m 2024/04/23
  • 全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴

    理化学研究所(理研)生命医科学研究センター ゲノム解析応用研究チームの寺尾 知可史 チームリーダー(静岡県立総合病院 臨床研究部 免疫研究部長、静岡県立大学 薬学部ゲノム病態解析講座 特任教授)、劉 暁渓 上級研究員(研究当時:ゲノム解析応用研究チーム 研究員; 静岡県立総合病院 臨床研究部 研究員)、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター シークエンス技術開発分野の松田 浩一 特任教授らの共同研究グループは、大規模な日人の全ゲノムシークエンス(WGS)[1]情報を分析し、日人集団の遺伝的構造、ネアンデルタール人[2]およびデニソワ人[3]由来のDNAと病気の関連性、そしてゲノムの自然選択が影響を及ぼしている領域を複数発見しました。 研究成果は、日人集団の遺伝的特徴や起源の理解、さらには個別化医療[4]や創薬研究への貢献が期待されます。 今回、共同研究グループは、バイオバン

    全ゲノム解析で明らかになる日本人の遺伝的起源と特徴
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    t_f_m 2024/04/18
  • エタノールがトマトの高温耐性を高めることを発見

    理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チームの関 原明 チームリーダー、戸高 大輔 研究員、筑波大学 生命環境系の草野 都 教授らの共同研究グループは、トマトへのエタノールの投与により、高温ストレス耐性が強化されることを発見しました。 研究成果は、農作物の高温耐性を強化する技術の開発に貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、トマトの幼植物体に、安価で入手しやすいエタノールを投与した後、高温ストレス環境下に置きました。その結果、高温ストレス後の生存率が向上することおよび高温ストレスによる果実の生育ダメージが低減することを見いだしました。遺伝子発現や代謝産物の量的変化を網羅的に解析したところ、エタノールの投与によって、1)LEAと呼ばれるストレス応答性遺伝子の発現量が増加すること、2)グルコースやフルクトースなどの糖類が蓄積すること、3)増加すると生体に

    エタノールがトマトの高温耐性を高めることを発見
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    t_f_m 2024/04/02
  • 紺綬褒章の授与について | 理化学研究所

    理化学研究所へ多大なご寄附をされた、アール・ナノバイオ株式会社に、日国政府から紺綬褒章※が授与されました。 3月21日には、理化学研究所和光地区において、理化学研究所 仲真 紀子 理事からアール・ナノバイオ代表取締役 伊藤 嘉浩 様へ褒状が伝達されました。 ※紺綬褒章 公益のために私財を寄附した方を対象とし、表彰されるべき事績の生じた都度、各府省等の推薦に基づき審査され、授与される。国、地方公共団体又は公益団体(公益を目的とし、法人格を有し、公益の増進に著しく寄与する事業を行う団体であって、当該団体に関係の深い府省等の申請に基づき賞勲局が認定した団体)に対する寄附が授与の対象となる。理化学研究所は、2019年3月、公益団体に認定された。

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    t_f_m 2024/04/02
  • 量子もつれの伝達速度限界を解明

    理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子複雑性解析理研白眉研究チームの桑原 知剛 理研白眉チームリーダー(開拓研究部 桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム 理研白眉研究チームリーダー)、ヴー・バンタン 特別研究員、京都大学 理学部の齊藤 圭司 教授の共同研究チームは、相互作用するボーズ粒子[1]系において量子もつれ[2]が伝達する速度の限界を理論的に解明しました。 研究成果は、多数のボーズ粒子が相互に作用することで生じる量子力学的な動きを理解する上で新しい洞察を提供すると同時に、量子コンピュータ[3]を含む情報処理技術における根的な制約を解明することにも寄与すると期待されます。 量子力学で現れる最も基的な粒子であるボーズ粒子が相互作用を通じてどのくらいの速さで量子的な情報を伝達できるのか、という問題は長年未解決でした。 共同研究チームはリーブ・ロビンソン限界[4]と呼

    量子もつれの伝達速度限界を解明
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    t_f_m 2024/03/30
  • 超特異的な遺伝子ノックダウン法を開発

    理化学研究所(理研)開拓研究部 岩崎RNAシステム生化学研究室の岩崎 信太郎 主任研究員、アントニオス・アポストロプロス 国際プログラム・アソシエイト(研究当時、現研究生、東京大学 生産技術研究所 特任研究員)、河 尚大 学振特別研究員PD、七野 悠一 研究員、東京大学 生産技術研究所の池内 与志穂 准教授、周 小余 特任助教、愛知学院大学 薬学部の築地 仁美 教授らの共同研究グループは、目的の遺伝子の翻訳[1]を極めて特異的に抑制する新手法CRISPRδ(クリスパー・デルタ)を開発しました。 研究成果は、遺伝子の機能を理解するという基礎生物学の発展に貢献するだけでなく、原因遺伝子の機能抑制を通じた疾患治療など、さまざまな応用につながることが期待されます。 遺伝子の機能を理解するためには、何らかの手法でその遺伝子の発現量を抑制し、抑制による影響を調べる必要があります。しかし、既存の手

    超特異的な遺伝子ノックダウン法を開発
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    t_f_m 2024/03/15
  • 二つの「ジョセフソン接合」をつなげてみたら…?

    松尾 貞茂 研究員らの国際共同研究グループは、量子コンピュータの演算素子などに使われている「ジョセフソン接合」に関わる、ユニークな超伝導物理を研究しています。2022年9月には、理論的に予言されていた、ジョセフソン接合同士の接続に関する現象を実験で証明し、新たな素子開発の可能性を開きました。この成功を出発点に「超伝導ダイオード効果」や「異常ジョセフソン効果」といった新たな物理現象の観測にも成功しています。 超伝導とジョセフソン接合 オランダの物理学者カマリン・オンネスが「超伝導」を発見したのは1911年のこと。超伝導とは、特定の金属や化合物(超伝導体)を冷やしていくと、突然電気抵抗がゼロになる現象だ。電気抵抗がゼロになるのは、通常はばらばらに動き回る電子がペアを組んで移動するからで、この電子のペアを「クーパー対」、クーパー対の流れを「超伝導電流」という。 近年、研究開発が加速している量子コ

    二つの「ジョセフソン接合」をつなげてみたら…?
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    t_f_m 2024/03/13
  • 100年前の数式を見直し、酵素の働きを最大に

    酵素は生体における化学反応を促す働きがあり、生命維持に重要な役割を担っています。大岡 英史 研究員らは、この酵素の働き(酵素活性)を最大にする理論的な条件を発見し、2023年に発表しました。100年以上も前の古典的な式を見直し、物理化学的な知見を加えることで新しい理論を導き出したのです。 "くっつきやすさ"の条件を探る 私たちは生きるために体内に取り込んだ栄養素からエネルギーを取り出し、必要な物質を合成している。このような生体内で起こる一連の化学反応を代謝という。体内のように温度や酸性度が穏やかな条件では起こりにくい化学反応も多いが、そんな体内でもスムーズに反応が進む。これは酵素のおかげだ。酵素とは、代謝という化学反応の過程で"触媒"として機能するタンパク質のことである。触媒は、特定の化学反応の速度を速める能力があり、反応の前後でも自身は変化しない。 大岡 研究員が今回の研究を始めたきっか

    100年前の数式を見直し、酵素の働きを最大に
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    t_f_m 2023/12/13
  • カマキリを操るハリガネムシ遺伝子の驚くべき由来

    理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 染色体分配研究チームの三品 達平 基礎科学特別研究員(研究当時、現 客員研究員)、京都大学 生態学研究センターの佐藤 拓哉 准教授、国立台湾大学の邱 名鍾 助教、大阪医科薬科大学 医学部の橋口 康之 講師(研究当時)、神戸大学 理学研究科の佐倉 緑 准教授、岡田 龍一 学術研究員、東京農業大学 農学部の佐々木 剛 教授、福井県立大学 海洋生物資源学部の武島 弘彦 客員研究員らの国際共同研究グループは、ハリガネムシのゲノムにカマキリ由来と考えられる大量の遺伝子を発見し、この大規模な遺伝子水平伝播[1]がハリガネムシによるカマキリの行動改変(宿主操作[2])の成立に関与している可能性を示しました。 研究成果は、寄生生物が系統的に大きく異なる宿主の行動をなぜ操作できるのかという謎を分子レベルで解明することに貢献すると期待されます。 自然界では、寄生

    カマキリを操るハリガネムシ遺伝子の驚くべき由来
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    t_f_m 2023/10/20
    "これらの結果から、ハリガネムシは、宿主であるカマキリから大規模な遺伝子水平伝播を受けることで、宿主操作を成し遂げている可能性が明らかになりました"
  • 転写の瞬間を撮影して、生物学上の長年の謎を解決!

    生命の設計図、ゲノムDNAは糸巻きのようなタンパク質に巻き付いて、細胞の核の中にコンパクトに収納されています。DNAの中にある遺伝子を読み取るときにはDNAを糸巻きから外す必要がありますが、外した後の糸巻きがどうなるかは謎でした。関根 俊一 チームリーダーらの研究グループは、外れた糸巻きが元通りになるまでの一連の過程を撮影することに成功し、この謎を解決に導きました。 遺伝子発現に潜む謎 私たちの細胞の中にある染色体46分のDNAを全部つなぐと、約2メートルの長さになる。DNAは「ヒストン」というタンパク質に2周ほど巻き付いて「ヌクレオソーム」という小さな構造をつくる。膨大な数のヌクレオソームが数珠つなぎになったものが「クロマチン」である。「クロマチン構造は、長大なDNAを小さな核の中に収納する仕組みであるとともに、DNAのどの部分をいつ働かせるかということを制御する重要な機能を担っていま

    転写の瞬間を撮影して、生物学上の長年の謎を解決!
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    t_f_m 2023/09/22
  • エントロピー増大に逆らうゲル材料 | 理化学研究所

    理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター 創発生体関連ソフトマター研究チームの王 翔 研究員、石田 康博 チームリーダーらの共同研究グループは、外部から加えられた力の左右方向を見分け、一方向にのみ変形することのできるゲル[1]材料を開発し、この材料が物質やエネルギー、生物を一方向に移動させる能力を持つことを実証しました。 研究成果は、今回の材料が乱雑状態から秩序状態を作り出す、すなわち「エントロピー増大[2]」に逆らう能力を持つことを示しており、物質の分離、エネルギーの回収、生物行動の制御など、幅広い分野で応用されると期待できます。 今回、共同研究グループは、斜めに配向させた酸化グラフェンのナノシート[3]をゲル中に埋め込んだ材料を作製しました。このゲルに横方向の剪断[4]を加えた際、左向きの剪断ではナノシートがたわみ、ゲルは容易に変形する一方、右向きの剪断ではナノシートはたわまず、

    エントロピー増大に逆らうゲル材料 | 理化学研究所
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    t_f_m 2023/09/11
  • 培養神経回路において自由エネルギー原理を実証

    理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 脳型知能理論研究ユニットの磯村 拓哉 ユニットリーダーらの国際共同研究グループは、近年注目される脳理論「自由エネルギー原理[1]」により培養神経回路の自己組織化[2]を予測できることを明らかにし、自由エネルギー原理に予測的妥当性があることを実証しました。 研究成果は、神経回路の自己組織化原理の解明、ならびに生物の脳の自己組織化を予測するデジタル脳[3]開発に向けた重要なステップであると言えます。将来的には、薬品が知覚に影響を及ぼすメカニズムの理解や、自律的に学習するニューロモルフィックデバイス[4]の創出に貢献すると期待できます。 自由エネルギー原理はさまざまな脳機能を説明できる仮説ですが、検証不可能なものであると見なす専門家も多く、自由エネルギー原理が神経回路レベルにおいて正しいかどうかは、これまで格的に検証されていませんでした。 今回、国

    培養神経回路において自由エネルギー原理を実証
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    t_f_m 2023/09/07
  • 放射光施設でLEDが壊れる?その原因を解明

    大型放射光施設「SPring-8」は、SDGsや2050年カーボンニュートラル達成に向けた研究を支える施設で、施設のグリーン化も積極的に進めています。しかし、その過程で意外なところにネックがあったのです。高エネルギーの電磁波である放射線にさらされると、長寿命のはずのLEDが数カ月で点灯しなくなってしまいました。田中 均グループディレクター(GD)らはその原因を究明し、驚くほど簡単な解決方法を見いだしました。 放射線環境下ではLEDが使えない?! 施設のグリーン化の一環として、SPring-8でも、蛍光灯からLEDへの置き換えを実施している。ところが、加速器トンネル内のLEDは数カ月ですべて故障してしまった。強い放射線(X線)の影響と考えられたが、当時、LEDのメーカーでさえそのような故障が起きるとは認識しておらず、原因も分からなかった。田中GDはその原因を探ろうとチームを立ち上げた。 そん

    放射光施設でLEDが壊れる?その原因を解明
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    t_f_m 2022/09/18
  • 励起一重項と三重項のエネルギー逆転を実現

    理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発超分子材料研究チームの相澤直矢基礎科学特別研究員(研究当時)(現大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻助教)、夫勇進チームリーダー(山形大学大学院有機材料システム研究科特任教授)、情報変換ソフトマター研究ユニットの宮島大吾ユニットリーダー、北海道大学創成研究機構化学反応創成研究拠点(WPI-ICReDD)・同大学院理学研究院化学部門前田理教授らの共同研究グループは、一重項励起状態[1]と三重項励起状態[1]のエネルギーが逆転した発光材料を実現しました。 研究成果は、教科書を書き換える発見であるとともに、理想的な有機EL[2]材料の実現に向けたマイルストーンになると期待できます。 1925年に提案されたフントの規則は、同一の電子配置において最大のスピン多重度を持つ状態が最低エネルギーを持つと予言しています。従って、スピン三重項励起状態はスピン一

    励起一重項と三重項のエネルギー逆転を実現
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    t_f_m 2022/09/15
  • 赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけの科学

    理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター親和性社会行動研究チームの大村菜美研究員、黒田公美チームリーダーらの国際共同研究グループは、科学的根拠に基づく赤ちゃんの泣きやみと寝かしつけのヒントを発見しました。 研究成果は、赤ちゃんの泣きに困る養育者のストレスの軽減や、虐待防止につながると期待できます。 黒田公美チームリーダーらは2013年、親が赤ちゃんを運ぶとおとなしくなる「輸送反応[1]」をマウスとヒトにおいて発見しました。しかしこの研究では、運ぶ時間が約20秒間と短く、かつ運ぶのをやめると赤ちゃんは再び泣き出すという課題がありました。 今回、国際共同研究グループは、赤ちゃんが泣いているとき、母親が抱っこして5分間連続で歩くと、泣きやむだけでなく、約半数の赤ちゃんが寝付くことを発見しました。また、親の腕の中で眠った赤ちゃんをベッドに置くとき、赤ちゃんが目覚めやすいのは親から体が離れるタイ

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    t_f_m 2022/09/14
    輸送反応
  • V字型二重スリットによる電子波干渉実験

    理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発現象観測技術研究チームの原田研上級研究員、大阪府立大学大学院工学研究科の森茂生教授、名城大学理工学部児玉哲司教授らの共同研究グループは、株式会社日立製作所研究開発グループと共同で、最先端の実験技術と新しく開発したV字型二重スリット[1]を用いて、「波動/粒子の二重性[2]」に関する実験を行い、電子の経路情報と干渉[3]の発現の関係を明らかにしました。 研究成果は、量子力学が教える波動/粒子の二重性の不思議の実証を一歩進め、電子の伝搬経路と干渉との関係の解明に貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、ホログラフィー電子顕微鏡[4]の結像光学系と電子波の干渉装置である電子線バイプリズム[5]を利用して、V字型二重スリットを焦点の合った(伝搬距離ゼロ)干渉条件で観察することに成功しました。これにより、粒子として検出された電子の経路をさか

    V字型二重スリットによる電子波干渉実験
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    t_f_m 2022/08/31
    すさまじい
  • 4個の中性子だけでできた原子核を観測

    理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター多種粒子測定装置開発チームの大津秀暁チームリーダー、スピン・アイソスピン研究室のバレリー・パニン特別研究員(研究当時、現客員研究員)、ダルムシュタット工科大学のメイテル・デュア研究員、ステファノス・パシャリス研究員(研究当時)、トーマス・オウマン教授、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターの下浦享教授(研究当時)、東京工業大学理学院物理学系の中村隆司教授、近藤洋介助教らの国際共同研究グループは、理研の重イオン[1]加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)[2]」の多種粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ[3]」を用いて、4個の中性子だけでできた原子核「テトラ中性子核」の観測に成功し、陽子を含まない複数個の中性子が原子核を構成して存在できる新たな証拠を得ました。 研究成果は、陽子を1個も含まない、いわば「原子番号ゼロ

    4個の中性子だけでできた原子核を観測
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    t_f_m 2022/06/28