葛西臨海水族園では今、フンボルトペンギンのひながつぎつぎに孵化しています。そこで今回は、孵化にまつわる話をしましょう。 みなさんは「卵歯」(らんし)とは何だかわかりますか? 卵に生えている歯ではありません。鳥類のひなが孵化するとき、中から自分で殻を割るときに使う硬い組織です。 鳥類は空を飛ぶために体を軽くするよう進化しました。軽量化のために歯もありません。もともと飛ぶ鳥だったペンギンたちにも歯はありませんが、卵歯という「歯」が(一時的に)あるのです。 発生学上、本来の歯の起源は体表の甲皮とされていますが、卵歯は上嘴(じょうし:上側のくちばし)の表皮の角質層からできていて、起源が異なります。しかし、本来の歯のように白色をしているので、卵歯と呼ばれるようになったのかもしれません(英語でも egg tooth「卵歯」です)。 鳥類辞典などを見ると、卵歯は一般に孵化後数日以内に消失する、と書かれて
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