昭和4年に出版され、若者を中心としたワーキング・プアの増加を背景に2008年にブームを起こした小林多喜二の小説「蟹工船」。プロレタリア文学の代表作といわれるこの作品を、巨大化した水棲生物が “空流”を泳ぐSF世界を舞台にリメイクしたのが「ヤングアニマル」(白泉社)で連載中の漫画「新約カニコウセン」だ。 「新約カニコウセン」1巻 底辺労働者たちが“巨大蟹”漁に身を投じる“蟹工船”で、極限状態の劣悪な人間関係を嫌悪し、悪逆監督・九条の暴政に命懸けで立ち向かっていく孤児院出身の流伽の姿を描き、最新1巻が10月29日に発売されたばかり。 1話目から世界観に引き込まれるストーリーや、生身で巨大蟹と戦うアクション要素も魅力の本作が生まれた経緯や制作の裏側について、原作者・原田重光さんと作画・真じろうさんに教えてもらった。 一番のハードルは「世界観やアクション、クリーチャーなどを描ける作家さんに頼めるか