「自分は何歳まで働けるだろう」――定年を目前にし、考え直したという。経済的な問題ではなく、生きがいとしての仕事をいくつまでできるか。考えた結果は70歳。70歳までの十数年で、何ができるだろうか。 会社では化学技術者としてキャリアを積み、40代でシステム部門に異動。工場の生産管理システムや社内の部署間システム構築を手がけた。システム子会社立ち上げに関わり、辞める直前は、SAPの全社導入プロジェクトをサブリーダーとして取り仕切った。 SIベンダーによるシステム構築に、矛盾と限界を感じていた。「ベンダーはいわば、おこがましい。業務の仕組みはすでにあるのに、それを新たに『開発』しようとする」 ユーザー企業の業務を知らないSIベンダーは、システムに合った業務フローを“開発”してしまう。その結果、業務に合わないシステムが生まれ、結局は誰も使わない。この構造を変え、ユーザー主導の「本当に使える」システム
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