サトウキビ産地の鹿児島県・種子島が危機にひんしている。10アール当たり収量と平均糖度の落ち込みが激しく、農家の手取り額は前年の3分の1に減る見込みだ。昨秋の台風被害が表面化した。糖度低下は同県の喜界島や沖永良部島でも広がっているが、収量にも影響を受けたのが種子島だ。島のサトウキビを全量加工する製糖会社の製糖量も過去60年で最低になりそうだ。JA種子屋久は「このままでは島の基幹産業が成り立たなくなる」と悲鳴を上げる。 「こがんとで糖度が上がるわけなか」。23日、サトウキビ畑を見回った中種子町の農家、梶屋良幸さん(67)は吐き捨てるように言った。通常ならまだ青々としているはずが、梶屋さんがつかんだ1本は葉先まで茶色く変色していた。従来は12月中旬の収穫開始から、徐々に糖度が上がっていく。だが、今年は糖度の低下が止まらず、農家は焦りを募らせる。「サトウキビの成長も進まず、収量もかなり少ない。こん