「感動」という言葉 あらたまって「なぜ感動するのか」「感動とはなにか」と問われた場合には、それが個人的な主観体験であり過ぎるためか、しばし言葉に窮し、答えようにもどこか焦点が定まりづらい感がある。 さしあたって「感動」を言葉の面から少しみていくと、まず「感動」は学術用語ではないから、学術的な定義はない。 そこで手近な辞書、広辞苑を開けてみると「感動」の語義を"名詞。深く物に感じて心を動かすこと"と簡潔に示してから、「名画に感動する、感動を覚える、感動にひたる」の用例が続く。 広辞苑よりも大きな辞書、日本国語大辞典を開けてみると、 強い感銘を受けて深く心を動かされること、 他からの刺激に反応すること、作用を受けて動くこと、または動かされること の3つの語義を示している。 ついでに言えば、この辞典の大きな利点は、語義それぞれに歴史的用例の記載があることだ。つまり、史料で遡れる限り、それがいつの