27日、奈良地裁で開かれた奈良県田原本町の医師宅放火殺人事件をめぐる供述調書漏出事件の公判で、同日午後、秘密漏示の罪に問われた鑑定医の崎浜盛三(もりみつ)被告(51)に対する被告人質問が行われた。崎浜医師は「結果的にだまされた思いはある」と述べ、調書の引用本を出版した著者の草薙厚子氏や講談社を批判した。草薙氏に調書を見せたのは「信念に基づいたこと」と強調する一方、「ああいう本が出てしまったのは後悔といえば後悔」とも語った。 調書を見せた理由について、崎浜医師は、放火殺人事件で中等少年院送致とされた少年(18)の精神鑑定を担当して「広汎性発達障害」と診断したことを踏まえ、「『殺人者』ではないと世間に知って欲しかった。何らかの法に触れるんだろうと思ったが、良心に従った行動なら違法にならないと理解していた」と述べた。 刑法の秘密漏示罪は、医師や薬剤師、弁護士らが「正当な理由」なく秘密を漏らす