皇居の西側、半蔵門と桜田門の間に位置し、およそ半世紀にわたって日本の伝統芸能を支えた国立劇場と、隣接する国立演芸場が10月末をもって閉場する。 【写真を見る】「サド侯爵夫人」で麗しい姿を披露した坂東玉三郎(1990年) 「国立劇場は昭和41年、国立演芸場は昭和54年の開場。閉場理由は激しい老朽化による建て替えです」 とは歌舞伎担当記者。 「大劇場と小劇場を持つ国立劇場は伝統芸能の上演を目的に設置され、歌舞伎を中心に、能や狂言、日本舞踊などが上演されました。とくに歌舞伎は最初の演目から最後までを上演する“通し”を基本としつつ、三島由紀夫の新作歌舞伎にも門戸を開放。10代だった坂東玉三郎が大いに注目を集めたのも国立劇場での公演がきっかけでした」 「すべての応募者が辞退」 ファン層の開拓にも取り組み、中高校生を対象とした歌舞伎鑑賞教室は55年にわたって続いた。閉場に際しては、昨年9月から「初代国