<財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」October− 02 20 > 地方税の諸問題と分権的財政制度のあり方 もとひろ 佐藤 主光* 要 約 20 年4月に「地方分権一括法」が施行されたのを追い風に地方では「新税ブーム」が 00 起きている。また,地方の財政悪化を背景に,税源移譲や法人事業税の外形標準化の議論 が盛んになってきている。国が政策を決定,財源保証を行い,地方が執行を担う「集権的 分散システム」として特徴づけられてきた我が国の集権的財政制度は大きな変革を迫られ ているのである。本稿の目的は,分権化社会にあるべき地方税制度について,主として欧 米で発展してきた地方財政理論のツールを用いて議論することにある。ここで重視される のは,これまでの分権化論では見過ごされがちであった「インセンティブ」に関わる諸問 題である。具体的には a 移譲された権限・責任(