青木——ところで、美術館というのは、いろいろな人が関わりながら運営されていく ものですから、どんな立場の人がどんな関わりをもつかで運営が変わってきます。日 本の公立美術館の場合は、館長がいて、役所側を代表する事務局長がいて、学芸員が いて、それ以外の人の関わりはあまりありませんね。その三者の関係で運営が決まっていく。そして、その結果を見ると、残念ながら、日本中の美術館がかなり似通った ことをしてしまう状況になっています。最初に美術館というものを成立させている構 造が決まってしまっていて、この三者の関係ではどうもその構造から逃れられない。本来は、館長が最も責任のある立場であるわけで、だから最も力があると思うのだけ ど、それはかなり微妙な立場であるようで、かならずしも、その力を行使できているわけではないようです。館長が強い決定権をもつことができれば、美術館の構造から変えることもできるように思う