人間の条件 ハンナ・アレント 中央公論社 1973 Hannah Arendt The Human Condition 1958 [訳]志水速雄 ヴィタ・アクティーヴァ。ハンナ・アレントが本書で提供するコンセプトである。「活動的生活」と訳す。 アレントは人間のもっている活動力を一つと見なかった。少なくとも3つ、広げれば4つの活動があると見た。労働(labor)、仕事(work)、活動(action)、それに思考(thought)である。こんな分類をしてアレントがどうしたかったというと、真の政治参加を呼びかけた。この政治参加は選挙に行くとかオンブズマンになるということではない。サルトルが重視したアンガージュマンでもない。かつて古代ギリシアに展開されていた"公共の生活"というものを新たに再生したいというのである。 これが難しい。何が難しいかというと、古代ギリシアにおける公共概念がわかりにくい。