『週刊SPA!2007.10/30号』(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・639」より。 【仙台にワークショップに行ったのですが、帰り、東北新幹線の中で、隣に座ったサラリーマンの人が、ワゴンを押してきたお姉さんに、「××、1個ちょうだい」と声をかけました。「××」は、よく聞き取れなかったのですが、たぶん、沿線の銘菓だと思います。 お姉さんは、「はい、××、1個でよろしいですか?」とおうむ返しに言いました。その途端、「1個って、言ったじゃないか!話をちゃんと聞けよ!バカかお前は!」と、そのサラリーマンの人は叫びました。 僕はびっくりして、体がびくんとしました。お姉さんは、「すみませんでした」とすぐに答えて、「あいにく××は、今、切らしておりまして、後でお届けします」と答えました。サラリーマンの人は、「あ、そう」とだけ返しました。 僕は、ちらりとサラリーマンの顔を見ました