国立大学法人 名古屋大学 情報連携統括本部 情報戦略室 教授 (前NTTデータ フェロー システム科学研究所長)山本 修一郎 今回は、ロールスロイス社のMarvinらが提案している安全要求を自然言語で記述するためのEARS(Easy Approach to Requirements Syntax、要求定義のための簡易構文)テンプレートを紹介する[1][2]。 この方法は、要求定義の専門家ではない発注者(ステークホルダ)が5種類のテンプレート構文を用いることにより、自然言語による要求定義が持つ曖昧性や検証不能性などの多様な問題を回避できるように考案されたものである。Marvinらは、この手法を航空機エンジン制御システムの要求記述に適用することにより、英語を用いた要求記述の多くの問題を解消できたと報告している。 以下では、まずEARSによる要求記述テンプレートを紹介する。次に、自然言語で記述さ