先月出版された行政学者・田村秀氏の『地方都市の持続可能性――「東京ひとり勝ち」を超えて』(ちくま新書)という本を読んでいたら、中世から現代までの日本の地方都市の栄枯盛衰を描いた章があって、なかなか興味深い内容でした。 江戸時代の江戸が、人口規模でいえば当時世界最大の都市にまで成長したことはよく知られています。それに加え、例えば大阪が商人の町として大いに栄えたこともあって、江戸時代の日本では高度な都市化が実現していったのだというイメージが一方にありますね。 ところが国土庁の研究会が行った推計の結果をみると、江戸時代には、一貫して都市人口比率(全人口のうち都市に済んでいる人の割合)は低下していたと考えられるようです。具体的には、1650年に都市人口比率が17%だったのが、1750年に14%となり、1850年には12%まで減っていったらしい。 これは、江戸時代の後半に飢饉や天災で都市経済がたびた