はじめに 前月の本レポートでは、欧州の中国に対する見方がここにきて一段と厳しくなっていることについて述べた。その背景として、中国による新型コロナ対応と香港の人権問題を挙げた。 ここでは、欧州の中国に対する警戒感が高まる中、当面直面するファーウェイ・5G対応、さらに今後の長期課題として国際的なデータ圏づくりに対する欧州の姿勢がどのように変化しているかについて検討する。 同時に、欧州域内の新型コロナ対応が、データの取り扱いの考え方に大きな影響を与えていることにも留意し、議論を進めたい。 厳しさを増すファーウェイ・5G対応 昨年7月の本レポートでは、ファーウェイ・5G対応について、欧州連合(EU)は、米国の厳しい姿勢とは一線を画しファーウェイを一律に排除することはせず、これをサイバーリスクという観点からとらえ、各加盟国にリスクに対処する体制づくりを求める方針であると述べた。 言い換えれば、ファー