「ありがとう」という言葉がある。これはまあ、誰もがご存じのように、「あなたが私のような者にこのようによくしてくださるなどということは、まったくもってふつうでは考えられないほどに発生する蓋然性が低いことである。また、そのあなたのような人が私に関わってくださるという巡り合わせそのものもきわめて稀なことであり、いまここで私を巡るすべてのことどもが、現実に発生するとはとても考え難い、“在り難い”ことである。私はなんと運のよいしあわせ者であろうか」といった意味だ。これほど奥ゆかしい感謝のしかたをする言語がほかにあるかどうかはよく知らないが、それにしてもこれは、驚くべき宇宙的な感謝のしかただと思う。「ありがとう」という言葉を聞くたび、量子論的な多世界解釈といったものがちらとおれの脳裡をかすめる(そんなオーバーな)。 それはともかく、今日風呂の中でこの「ありがとう」という言葉に思いを馳せていたところ、「