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  • 『漢字廃止で韓国に何が起きたか』 呉善花 (PHP新書) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 幕末から1980年代まで漢字廃止運動という妖怪が日を跋扈していた。戦前は「我が国語文章界が、依然支那の下にへたばり付いて居るとは情けない次第」(上田萬年)というアジア蔑視をともなう近代化ナショナリズムが、戦後は漢字が軍国主義を助長したという左翼の神話(実際は陸軍は漢字削減派だった)が運動のエネルギー源となり、実業界の資金援助を受けてさまざまな実験がおこなわれた(キーボードのJISカナ配列はその名残である)。 1946年に告示された1850字の漢字表が「当用」漢字表と呼ばれたのも、いきなり漢字を全廃すると混乱が起こるので「当面用いる」漢字を決めたということであって、あくまで漢字廃止の一段階にすぎなかった。 当用漢字表の実験によって漢字廃止が不可能だという認識が広まり、1965年に国語審議会は漢字仮名交じり文を認める決定をおこなったが、漢字廃止派はこの決定を正式の文書に

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  • 『顔にあざのある女性たち』西倉実季(生活書院) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「ユニークフェイス研究に光を当てた労作」 書は、日というユニークフェイス研究不毛の地に、はじめて登場した日人研究者による学術書です。 私が1999年からユニークフェイス問題を公に語り初めて10年。ようやく日の現状を研究者が調査結果を単行化してくれました。待望されていた書籍です。 私は1996年から97年にかけて英米カナダで情報を収集し、日ではこの問題については研究の蓄積がないことに気がついていました。1999年から大学関係者に、ユニークフェイス研究をしてほしい、と機会をみつけて語ってきました。しかし、その反応は鈍いものでした。国内での先行研究がない、ということは、その研究の価値を判断する能力のある日国内の権威・専門家(大学教授)がいない、ということを意味します。 少子化による大学冬の時代です。若い研究者たちは就職先がありません。 大学院卒業生の就職先がな

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    takanorikido
    takanorikido 2009/08/20
    世紀末リーダー伝たけしに馬場っていう特に意味も由来もなく(記憶の限りでは一度も話題にならず)顔にあざのあるキャラがいたな(男性キャラだが)。あれは評価してる。
  • 消え行く少女 前編・後編 白土三平(小学館クリエイティブ) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入(前編) →紀伊國屋書店で購入(後編) 白土三平が、1959年に発表した『消え行く少女』の貸単行完全復刻版である。1999年に『白土三平初期異色作選』(青林工芸舎)に収録され、それが最初の復刻であったが、限定品ということもあり、広く読まれることは難しかったので、この二度目の復刻版の刊行は何よりの出来事である。 物語は、1944年8月6日に広島で原爆被害にあった少女が、十年後に母を原爆症で亡くしてしまう。その後、近所の親切な家族に引き取られるが、自らも発症していることに気づき、医療費の心配をかけまいと戦争で生き別れた父親を探す旅に出かける。行く先々で様々な困難を乗り越え、戦時中に強制労働から逃れ、山に潜伏していた朝鮮人の男と出会い、これからの日々を暮らして行こうとするのだが、警察によって不幸にも引き離され、最後には一人で息絶えていく。そして、ビキニ島での水爆実験を伝え

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  • 『5万年前』 ニコラス・ウェイド (イースト・プレス) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 オッペンハイマーの『人類の足跡10万年全史』と同じく、アフリカを出た人類が世界に拡がっていったグレート・ジャーニーを描いたであるが、同じ事実から出発しながら解釈がずいぶん違う。 まず「5万年前」という表題からわかるように、ウェイドの立場は絵を描き、歌をうたい、踊りをおどるといった「現代的行動」の能力は5万年前の「創造の爆発」で獲得されたものであり、それ以前の人類は身体だけヒトの格好をした「解剖学的現生人類」だとしている。 「現代的行動」の起源を5万年前におく学者はヨーロッパで獲得されたとする人が多いが、ウェイドは「創造の爆発」が起こったのはアフリカであり、出アフリカした現生人類は皆等しく「現代的行動」をとっていたとするために、出アフリカの時期を5万年前まで遅らせている。通説よりも1万5000年以上遅い。 5万年前以前の現生人類の痕跡が続々と出て来ているので、これは明

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  • パリ国際学校・石村清則の書評ブログ�:�『1984年』ジョージ・オーウェル(ハヤカワ文庫)

    →紀伊國屋書店で購入 「ジョージ・オーウェルの予言」 フランスでも携帯電話を持つ人の数が増えた。しかし、まだマナーは徹底していないので、電車やバスの中で携帯を使って大声で話している人もいる。パソコンも随分普及した。少し前になるが、数人の見知らぬ男女が一つの家の中で生活し、それをカメラが常時映し出し、視聴者の人気投票により少しずつ人が減っていき、最後の一人が賞金を獲得するという、悪趣味な番組が人気だった。 「偉大な兄弟(ビッグ・ブラザー)があなたを見守っている」。ジョージ・オーウェルが戦後まもなく描いた世界は、今になって現実化しつつあるように思えてならない。オーウェルの作品は『動物農場(アニマル・ファーム)』が有名だが、この『1984年』の方が「恐ろしい」。この作品は1940年代末に、35年後の近未来小説として執筆されたのだが、60年近く経った今の私たちにこそ読まれるべきだろう。 世界はオセ

    パリ国際学校・石村清則の書評ブログ�:�『1984年』ジョージ・オーウェル(ハヤカワ文庫)