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  • 『世界軍歌全集―歌詞で読むナショナリズムとイデオロギーの時代』辻田 真佐憲(社会評論社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「あの麻木久仁子氏もtwitter上で所望した貴重な網羅的資料集」 はじめに、で書かれているように、書は「軍歌の標」となるべく、「世界各国の軍歌をひとつの素材として取り上げることで、各位の興味や趣向にあわせて随意に翫賞してもらうこと」を目的としたものである。 よって取り上げる素材に比して、おどろくほどその内容はイデオロギッシュなものではない。国粋主義的な視点からそれを称揚するのでもなく、左派的な視点からそれを批判するのでもない。 それゆえにこそ、バランスよく多様な軍歌がちりばめられた書は、まずもってその網羅的な資料集としてのハンディな価値を評価すべきなのだろう。 だが、ある意味で筆者の意図したとおりに、その資料集は私(=評者)の社会学的な問題関心を幾重にも刺激してやまないものであった。 以下、箇条書き的にいくつか感想を記してみたい。 まず書を通して、軍歌という

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  • 『Once upon a Secret』Mimi Alford(Random House) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

  • 『こども東北学』山内明美(イースト・プレス) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「三陸沿岸の村で育った女性研究者の切実な問い」 私がそれまで無関心だった日の風土や民俗について目を開かれたのは、80年代半ばにバリ島に行ったときだった。学生時代に国内を旅していた70年代にはなかった視野を、80年代のバリ島で与えられた。日を再発見できたのはうれしかったが、同時にバリ島を合わせ鏡にしなければそれが出来なかったことに、一種のにがさを感じのもたしかだった。 近代化が達成され社会の価値観が大きく変貌した70年代、因習からいかに自由になるか、社会に迎合しない個をいかに確立するかに関心がむかった。そういう状況下では日の根っこは見えにくかった。それは二代遡っても東京生まれで、田舎というものを持たない私の生い立ちとも関係していたのだろう。オクテにならざるを得なかったのだ。 ヒンズー教の島であるバリ島には、日と似たところがたくさんあり、それが小さな島空間に凝縮さ

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    takanorikido
    takanorikido 2012/02/01
    内容と関係ないが貴志祐介『新世界より』に表紙が似てる。
  • 『潜水調査船が観た深海生物 — 深海生物研究の現在』藤倉克則/奥谷喬司 (東海大学出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 私事で恐縮ですが、このたび、新刊を出しました。「海に降る」(朱野帰子/幻冬舎)。女性初の有人調査潜水船パイロットを目指す主人公が海に棲む未確認巨大生物を探しに行く、という深海冒険小説です。物語の舞台は国内随一の海洋研究機関、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)。今井さんが書評を書かれた「生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る」の著者、高井研さんも在籍している機関です。なぜこんな小説を書いたかというと、それは単純に、深海の世界が書きたかったから。それだけなのです。 そんな私が今日、全国の深海生物ファンの皆様にご紹介するは、JAMSTECが出版した、我が国初の深海生態図鑑です。7,140円(税込)です。 「えっ、図鑑に7,000円も出せないよ」と思った方、お帰りください。むしろこれで7,140円は安いのです。高い、と思った時点であなたは真の深海生物フ

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  • 『アステカ帝国滅亡記―インディオによる物語』 トドロフ&ボド (法政大学出版局) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 もう8年前になるが、レオン=ポルティーヤの『インディオの挽歌』というを読んで文学性の高さに驚き、感銘を受けた。 コロンブス到達以前のアメリカというと人身御供にあけくれる石器段階の未開人しかいなかったと思われがちだが、チャールズ・マンの『1491』やライトの『奪われた大陸』にあるように、マヤやアステカ、インカ、アマゾン河流域、ミシシッピー河流域には同時代のヨーロッパやアジアの大国に引けをとらない高度な文明が存在した。そこには知識人階層が存在し、多くが殺されたとはいえ生きのびた者もいた。 アステカで生きのびた知識人はキリスト教に改宗し、子弟にスペイン語やラテン語の教育を受けさせた。読み書きを学んだ子供たちはナワトル語をアルファベットで書きあらわすようになり、親や兄弟から聞いたアステカ滅亡の顚末を文字にした。布教のためにナワトル語を修得した宣教師の中にも古老の聞書を書き残

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  • 『マヤ文字解読』 マイケル,コウ (創元社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 『古代マヤ文明』の著者でマヤ学の泰斗であるマイケル・コウがあらわしたマヤ文字解読史である。 古代文字の解読史は面白いに決まっているが、マヤ文字は面白さが倍加する。ヒエログリフと楔形文字は19世紀、線文字Bは20世紀前半に解読されたが、マヤ文字は16世紀から知られていたのに20世紀後半になってやっと解読されたからだ。しかも解読に功績のあった研究者は著者の直接の友人なのである。マヤ文字の解読はわれわれの同時代の出来事なのだ。 解読に四百年もかかったのにはいろいろな理由がある。まずマヤ文字の正確な模写がなかなか出なかったこと。ヒエログリフはナポレオンによって文化財と認められ、遠征軍にしたがった学者と画家による碑文の精密な模写が出版され、ヨーロッパ中で解読を競う体制が整ったが、マヤ学の場合、宣教師によって樹皮紙が徹底的に焚書にされただけでなく、碑文の初期の模写はマヤ文明ユダ

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  • 『A Singular Woman : The Untold Story of Barack Obama’s Mother 』Janny Scott(Riverhead Books) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

  • 『全貌ウィキリークス』ローゼンバッハ,マルセル シュタルク,ホルガー【著】 赤坂 桃子 猪股 和夫 福原 美穂子【訳】(早川書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「ウィキリークスの実態紹介」 朝日新聞が、沖縄の米軍普天間基地移設に関係する、海兵隊のグアム移転費用を水増しする「密約」が存在していたことなどを、アメリカ外交公電から暴露する報道を行った。Wikileaks(以下WL)が2010年に入手した外交公電のデータには、日に関するものも含まれており、これまでも散発的には報道されてきた。 WLが入手した外交公電のファイルは巨大なものであり、一人がすべてを読み通すことはほぼ不可能である上、大部分は他愛もない内容である。よってその中から有益な情報を抽出し、かつ「裏取り」をするというプロセスが必要となる。WLは、当初ウェブの集合知システムによってこれを行おうとしていたが、中途で放棄し、ヨーロッパ・アメリカの「伝統的」新聞社と提携して、彼らにそのプロセスを託すことになった。 日において彼らがパートナーとして選んだのは朝日新聞だったよ

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  • 『さまよえるグーテンベルク聖書』 富田修二 (慶応義塾大学出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 1987年10月22日、洋書の輸入販売で知られる丸善はニューヨーク・クリスティーズのオークションでドヒニーとして知られるグーテンベルク聖書を490万ドル(当時の邦貨で約7億円)で落札した。オークションの時点で現存するグーテンベルク聖書は48部が知られていたが、いずれも欧米の図書館が所蔵しておりアジアに招来されたのはこれが最初である(おそらく最後でもあるだろう)。 丸善は1989年に創業120年をむかえたが、前年の1988年から4年かけてドヒニーグーテンベルク聖書を中心とする印刷文化の展覧会を全国各地で開いた。ドヒニーは1996年に慶應義塾大学に売却されたが、落札から売却までの9年間、ドヒニーに係わってきたのが書の著者富田修二氏である。 富田氏は正規の勤務の終わった後や土日に出勤してドヒニーを子細に調査し、1992年に『グーテンベルク聖書の行方』(図書出版)

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  • 『私の居場所はどこにあるの?』藤本由香里(朝日文庫) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「今こそ読み返すべき、少女マンガ論の古典として」 書は、いまさら改めて紹介するのも戸惑われるほどによく知られた少女マンガ論の名著である。 個人的な思い出を記せば、1990年代中盤に、私が在籍していた北海道の大学で、女性とメディアに関するシンポジウムが開かれた際、登壇者であった上野千鶴子さんが、少女マンガに関する女性のリアリティを的確に描いた著作として紹介されていたのを思い出す。それからすでに15年ほどが経とうとしているが、今、この著作を取り上げるのは、その後の少女マンガや文化の変遷を捉えるために、あえて古典として読み直す必要を訴えたいからである。 そのタイトルにも触れながら著者が主張していたのは、「少女マンガの根底に流れているのは、「私の居場所はどこにあるの?」という問い、誰かにそのままの自分を受け入れてほしいという願いである」(P143)ということであり、親密な他

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  • 『アップルパイ神話の時代―アメリカ モダンな主婦の誕生』原克(岩波書店) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「アップルパイ神話」とは、二〇世紀前半のアメリカの主婦たちを「モダンな主婦」たらしめるためにメディアが作り上げた幻想である。書は、その「モダンな主婦神話」の「巧妙な語り口」を読み解いてゆくことによって、「お袋の味」というイデオロギーとは何だったのかをあきらかにする。 よく、アメリカ人の好きなものは「ママと星条旗とアップルパイ」といわれるように、「アップルパイ」は品メーカーの広告にくりかえしとりあげられ、「お袋の味」の大定番としてアメリカの主婦たちに刷り込まれていった。そうしたメディアの言説のなかでは、「アップルパイ」が上手に作れることはモダンな主婦であることの最大の要件なのだった。だからたとえば、サクサクのパイ生地を焼けることうけあい、という「クリスコのショートニング」の広告は、これさえ使えば「ご主人も『イチコロ』まちがいなし」と謳う。 書によれば、「モダンな主

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  • 『バナナの皮はなぜすべるのか?』黒木夏美著(水声社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「寄り切られてしまいました」 ネットの普及によって、大学などで学生にレポートを書かせるとネット情報の「コピペ」だらけだという。せめて情報を書き写すだけでもなにがしかの勉強になるだろうからと、レポート作成は手書きでやらせて、ワープロによる執筆を禁止しているところもあるらしい。 ネットを利用してできあがったという意味では、このもそうである。ある晩、々とした気分で道を歩いていた著者が、道ばたに落ちていたバナナの皮を見つけて、ふと、バナナの皮ですべって転ぶというお約束ギャグはいつからあるのだろうという素朴な疑問をもった。その疑問への答えを求めて著者はネットやの海を探索することになったというのだが、どうなんだろう、情報が簡単に得られるということは、情報の一つ一つがまさにただの「情報」と化してしまうことだ。苦労してえられた情報ならば、そこへたどり着くためのさまざまな物語が

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  • 『新月の夜も十字架は輝く-中東のキリスト教徒』菅瀬晶子(山川出版社) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 人口の99%以上がイスラーム教徒である中東において、キリスト教徒などとるに足らない存在にすぎなく、研究する価値などないように思うかもしれない。来、まったく無視してもいい人はひとりもいないのだが、マイノリティのなかには、社会への影響という点において、マジョリティの人びとと大差なくあまり存在感のない人びともいれば、数において少数であっても大きな存在感のある人びともいる。中東のキリスト教徒は、後者である。 著者、菅瀬晶子は、中東のキリスト教について、つぎのように紹介している。「ユダヤ教の一分派として誕生したキリスト教が、独自の聖典であるギリシャ語の七〇人訳聖書を掲げてユダヤ教から正式に分離したのが、イエスの死後およそ七〇年をへた紀元一世紀末のことである。その後教会は幾多の分裂を繰り返し、現在にいたっているが、とりわけ中東には初期の頃に分派し、ヨーロッパで発達したローマ・カ

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  • 『西欧中世の社会と教会-教会史から中世を読む-』リチャ-ド・ウィリアム・サザン著(八坂書房) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「教会の歴史からみる中世史」 ウェーバーは、組織をアンシュタルトとセクトに分類した。アンシュタルトは人々が生まれ落ちるように加入させられる組織であり、セクトは人々が自主的な意志をもって参加する組織である。アンシュタルトの代表的な組織が教会と国家であるが、書は教会と国家が一体的なアンシュタルトであった中世を通じて、教会の歴史を(ということは国家の歴史ということだが)追跡する。「近代国家が逃れようのない社会であるのと同様に、教会も[中世においては]逃れようのない社会であった」(p.7)ためである。 中世の教会は、国家であった。それは国家のすべての装置、すなわち法律、法廷、税金、徴税人、巨大な行政機構、キリスト教世界の市民と内外の敵に対する生殺与奪の力を備えていた(p.8)。 しかし問題は教会には警察権力がそなわっていなかったことである。人々を罰することができるとしても、

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  • 『物乞う仏陀』石井光太(文藝春秋) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「恐るべき才能をもったノンフィクション作家の誕生」 石井光太。いまもっとも勢いのあるノンフィクション作家だろう。 書は、石井光太のデビュー作である。 アジアの身体障害者、乞を取材。取材したエリアは、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、ネパール、インド。長期取材である。ときには障害者の物乞いとともに生活して、その肉声を取材している。 これまでの日人ノンフィクション作家の常識を越えた取材内容である。貧困地域の取材記録をした作家はいる。その多くは、一瞥した、数日一緒にいた、というごく常識的な取材の厚みだったのではないか。石井光太は、ともに暮らし、おなじものをべて話を聞いている。しかも若い。1977年生まれ。とんでもない才能が出てきた。 若いが故にできることがある。それは、差別された人間の苦しみを想像することができないことだ。取材当時25歳。健

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  • 『宇宙の神秘―五つの正立体による宇宙形状誌』 ヨハンネス・ケプラ- (工作舎) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 ケプラーが25歳の時に出版した処女作である。このがチコ・ブラーエに認められ、共同研究者格(実質は助手)で招かれ、ケプラー三法則の発見につながっていく。ケプラーの三法則がなかったらニュートンの万有引力の理論もなかったわけで、科学史上きわめて重要な著作である。 しかし……これは奇書である。仰々しい献辞と読者への序につづいてコペルニクスの宇宙論の要約がくる。次の第二章からが論になるが、神学的かつ数秘術的な牽強付会の連続で、コペルニクスの『回転論』から70年もたってから、こんなが書かれたとはとても信じられない。いや、これが当時の標準なのか。コペルニクスはあの時代にしては驚異的に近代的な頭をしていたらしい。 コペルニクスの宇宙論では惑星は六だけで、地球は太陽から数えて三番目である。ケプラーにとってはこの地球の位置こそ神意のあらわれだった。というのも地球の内側には太陽・水星

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  • 『Toxic Talk : How the Radical Right Has Poisoned America’s Airwaves 』Bill Press(Thomas Dunne Books) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

  • 『聖なる共同体の人々』坂井信生(九州大学出版会) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 「ウェーバーのテーゼの検証」 この書物は、アメリカ、カナダ、メキシコに移住した再洗礼派の共同体のルポルタージュであり、アーミシュ、ハッタライト、メノー派の共同体の現在の状況が報告されている。映画『刑事ジョン・ブック目撃者』)で描かれたアーミシュの共同体は圧倒的な迫力だった。とくに村を挙げての納屋の建築と、緊急を知らせる鐘の音に集まる村人たちの姿が印象的だった。 そして書によると、あの映画が撮影されたのは、伝統をあくまでも固持する旧派アーミシュのペンシルヴァニア州ランカスターであり、現在でも映画の撮影当時と状況はほとんど変わっていないらしい。 書が興味深いのは、こうした「聖なる共同体」で暮らす人々の暮らしぶりの面白さだけではなく、宗教的な伝統を維持した再洗礼派の共同体において、ウェーバーが示したテーゼがどのように検証され、彼が指摘した逆説がどのように回避されるかを明

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  • 大学教員(メディア研究・文化社会学)・岡井崇之の書評ブログ : 『女はポルノを読む―女性の性欲とフェミニズム』守如子(青弓社)

    岡井崇之 (おかいたかゆき) 1974年、京都府生まれ。 上智大学大学院文学研究科新聞学専攻博士後期課程単位取得退学。現在、法政大学、日大学などで非常勤講師。専門はメディア研究、文化社会学、社会情報学。メディア言説と社会や身体の変容をテーマに研究している。主著に、『レッスル・カルチャー』(風塵社、2010年、編著)、『プロセスが見えるメディア分析入門』(世界思想社、2009年、共編著)、『「男らしさ」の快楽』(勁草書房、2009年、共編著)など。 →bookwebで購入 「女はポルノをどう読んでいるのか」」 「ポルノグラフィは、『悪いもの』という前提でだけ考察されることが多い主題である。アダルトビデオやインターネットのアダルトサイト、ポルノコミック、アダルトゲーム、写真雑誌、小説・・・・・・とポルノが社会に蔓延している状況に顔をしかめる人は多い。しかしその一方で、マスターベーション

  • 『Writing Systems』 Florian Coulmas (Cambridg University Press) - 書評空間::紀伊國屋書店 KINOKUNIYA::BOOKLOG

    →紀伊國屋書店で購入 欧米人の書いた文字論は、ゲルプの先駆的かつ過激な仕事を別格とするとたいしたことはなく、特にインド以東の文字が弱いが、その中ではじめて納得できるに出会った。フロリアン・クルマスの "Writing Systems"で、河野六郎の『文字論』に匹敵する透徹した文字研究といっていいと思う。 フロリアン・クルマスは『言語と国家』、『ことばの経済学』などの著書のある言語社会学者であり、社会言語学者としての視点が書の後半で生きている。 クルマスはまた12年間にわたり日の大学で教鞭をとっていたという。日には仏教のつながりでアジアの文字文化に関する情報が厖大に蓄積されているが、長い滞日経験が他の欧米の文字学者にない視点を可能にしたふしもうかがえる。 クルマスが書で達成した業績は二つある。第一はきわめて広い視野で文字に関する議論を整理したことである。 クルマスは「表音文字」と「

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