武者小路実篤が周作人にあてた手紙武者小路実篤が周作人にあてた手紙「君の三十余年の友情を感謝して」と添え書きのある武者小路実篤の手紙 小説「友情」などで知られる作家の武者小路実篤(むしゃのこうじ・さねあつ=1885〜1976)が、中国人作家の魯迅(ろじん)の弟にあてた手紙の実物がみつかった。44年ごろのもので、第2次世界大戦中は戦争に協力的だったとされる実篤が、戦争末期には国策追従の文学者から一定の距離を持っていた様子が読み取れる。 手紙は、魯迅の弟で文学者の周作人(1885〜1967)にあてたもの。周と、戦争支持派の作家片岡鉄兵との論争を仲裁する目的で書かれた。論争のきっかけは、43年8月に開かれた国策に協力する文学者の会議。知日派とされる周は参加せず、そんな周を片岡は国策に非協力的だと非難していた。 手紙はペン書きで、原稿用紙5枚にしたためられている。封筒には筆で「周作人兄 武者小