3年ぶりに映画「LOFT」を公開し話題を呼んでいる黒沢清監督は、このほど、映画に魅せられた学生時代から最新作「LOFT」の創作の秘密までを語り尽くした「黒沢清の映画術」(新潮社 1800円)を刊行。そんな“Jホラー界の巨匠”黒沢清氏にホラー映画の魅力を聞いた。 ――本書で黒沢氏は「ホラーとは理不尽な暴力である」「人間の本質は幽霊である」とズバリ言う。とかくB級映画扱いされがちなホラー映画だが、ホラー・ブームの背景には現代社会の実相が透けて見えてくる。 「笑いすぎるからこの映画は上映禁止にする、なんてことはまずないですよね。ところが、ポルノや暴力やホラーは規制の対象になる。ホラー映画は怪人であれ、宇宙人であれ、幽霊であれ、なぜ襲ってくるかまったく意味不明の暴力的存在への恐怖を描こうとする。だから差別され規制されるわけです。しかし、現代は、いいお父さんがある日突然殺人鬼になったりと、ま