NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の第21話「決行の日」(5月24日放送)は、関門海峡に面した砲台に居並ぶ久坂玄瑞(東出昌大)ら長州藩士が、外国船に砲撃を加えるシーンでラストを迎える。 久坂はドラマの主人公・文(吉田松陰の妹)の夫で、主演の井上真央が久坂の無事を祈る中、見張り役が声を張り上げる。 「来たぞ! フランス船じゃ!」 その報を受け、洋上に船の姿を認めた久坂は「撃て」と指示を出す。 「でもまだ、御奉行さまのお許しが……」と躊躇する藩兵に久坂が返す。 「構わぬ。撃て!」 文久3(1863)年5月10日に長州藩が攘夷を決行した、いわゆる「下関事件」である。 ドラマではフランス国旗を掲げた船に向けて次々と砲弾が放たれ、何発かが命中して火の手があがる──。ところが、このシーンは史実と大きく食い違う。 1863年5月10日に砲撃を受けたのはフランス船ではない。長州藩が最初に攻撃したの