「いずれにしましても、ファンのみなさま、選手諸君、コーチ、そして球団の方々、本当にみなさんに、感謝、感謝、感謝です」 「ノムさんはこの光景をどう見たのだろう…」 感謝、感謝、感謝――。高津監督が口にした言葉は、かつて野村克也が口にしたフレーズとまったく一緒だった。間違いなく、自身が胴上げ投手となった28年前のことを意識した上での発言だろう。事実、「野村監督の言葉をお借りして、勝ったら言おうと思っていました」と、試合後に高津は語ったという。 それは、28年前の歓喜と興奮が、今、目の前で行われていた息詰まる死闘と交差した瞬間だった。「あぁ、あれからかなりの時間が経過したのだな」という感慨と、「ノムさんはこの光景をどう見たのだろう……」という思いと、「高津監督、本当にどうもありがとう」という感謝の念が入り混じったさまざまな心境になった。