ただ、倫理は希少資源。よって倫理を経営者に求めるには法制化が必要になる。だからすべての国の会社法では忠実義務(倫理)が経営者に課されていて、それを破ると特別背任罪になる。 一般的に、信任法というのも英米では重要な法律分野。信任法は忠実義務を法律で課す、つまり倫理を義務化する。ただ司法コストも高いので、それを補完する一つが従来のコーポレートガバナンス論。コーポレートガバナンスの中核は忠実義務(倫理)を遵守させることであり、それを法律で支えている。 信任法の中核は倫理で、本来それは経営者の自主的な倫理に任せられるが、全員がそうなるとは限らないので法律で外枠を囲ってはみ出た経営者は罰するという構造にある。 但し、近年米国では忠実義務を任意法規にする動きが強くなっている。信任関係を契約関係に置きかえる動きである。とくに会社統治においてその動きが強い。 英米における主流の経済学や会社統治論は、株主主