読み終わるのがもったいないほど素晴らしかった。もしこの本を読んでる瞬間を永遠に引き伸ばすことができるとしたら「ハイよろこんで!」と即答してしまいかねない。それほどの傑作。飛浩隆が持つ、生と死への感性は常軌を逸しているなあ。仮想現実や人工生命、精神の電子コピーというネタはもう定番だからと油断していたら、やられた。哲学書に匹敵する想像力と、静謐な文章と、人間臭い自虐的でドロドロとしたストーリー。およそこの組み合わせに抗えるSFファンはいないだろう。 以下ネタバレ。 意識の本質とは この短編集の基本アイディアは「意識とは情報の代謝である」ということです。 代謝(たいしゃ)とは、生体内の化学反応のことで、体外から取り入れた物質から他の物質を合成したり、エネルギーを得たりする。 代謝 - Wikipedia 要するに、情報をなんらかのやり方でインプットし、それをあるやり方で別の情報にアウトプットする