とある世界でのこと、あるところに北風と太陽がおりました。 二人はたいそう仲が悪く、喧嘩ばかりしています。 そして、それをいつも見ている人がおりました。 いつでも笑みを絶やさない、小さな、小さな女の子です。 ある日のこと、また来た風と太陽が喧嘩しています。 やれ太陽は眩しすぎていけない、 やれ北風は寒いから嫌われ者だ、と お互いを言い負かそうとしています。 しかし、それで迷惑を受けるのは人間でした。 太陽はいつにも増して照りつけ水不足に、 北風は強風で作物を枯らします。 それを笑って見ていた女の子は言いました。 「このままじゃ二人とも嫌われ者になってしまうわ。 県下はやめましょう?」 「こいつが俺より弱いと認めたらな」 「こっちの台詞だ」 しかし両者とも譲りません。 「じゃあ、勝負で決めましょう。 負けたほうは勝った人の言うことを聞くこと。どうでしょう?」 笑ったまま少女は言います。 「おれ