生後1〜2日の赤ちゃんを撮り続ける神戸市垂水区の写真家、酒本和範さん(51)が5日のこどもの日に合わせ、東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼市で写真展を開く。「人の幸せを撮りたい」という思いを込めた写真からは、命の尊さや強さが笑顔とともに伝わってくる。 「大丈夫だよ、大丈夫だよ」−−。赤ちゃんが泣きやんだ瞬間、シャッターを押す。つぶらな瞳にほんのり紅のさす透き通る肌。ミルクの匂いがしそうな写真だ。 1997年、近くの産婦人科医院に頼まれて撮影を始めた。赤ちゃんの目を傷めるリスクがあるため最初は断ったが、親と暮らせなくなる子や直後に亡くなる子もいると知り、出産の喜びを残したいという病院や親の思いに胸を打たれた。以来、撮った赤ちゃんは約5000人に及ぶ。