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  • 大杉 栄 の文章9 動物界の相互扶助 --生存競争についての一新説-- (1915年10月)

    動物界の相互扶助 --生存競争についての一新説-- (1915年10月) 一 この頃丸善に、ピョートル・クロポトキンの名著、『相互扶助論』(Mutual Aid, Peter Kropotkin.)の新版が来ている。これは一九○二年に初版を出して、その後ほとんど毎年のように版を重ねていたのだが、昨年以来の大戦争に関する思想界の必要に迫られて、年の初めに従来の版よりもさらに四倍安の五十銭となって現れたのだ。 今日の戦争とともに、ことにドイツの態度を論評するために、例のトライチュケやベルンハーディの思想が、全世界に喧しく是非されている。というよりもむしろ、事実においてほとんど全世界を風靡している。トライチュケやベルンハーディの根思想は、優勝劣敗である。弱肉強である。暴力と策略とによって勝敗を決する生存競争である。戦争に附随するいっさいの出来事が、この思想によって是認されるとともに、戦争

    takkeb
    takkeb 2012/05/25
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