2カ月前、岐阜に住む新聞記者の女性から電話が入った。彼女が取材している97歳の男性が、ゲリラ戦の教官として岐阜の少年たちを指導したと話しているという。しかも中野学校で訓練を受けたと言うが、資料も乏しくまとめ方に苦心していた矢先、『沖縄スパイ戦史』を見て、これだ! このことだったのか、と瞠目し、相談したいと連絡をくれたようだ。 岐阜新聞の記者・大賀由貴子さんは、満州で起きた黒川開拓団の性接待の特集など硬派な戦争ものに取り組んできたまだ20代のホープで、すでに多くの資料にあたっていて私が協力できることは少なかったのだが、逆に私がお願いをした。その方にぜひ会ってみたい。岐阜の故郷の山河で本土に上陸したアメリカ軍を迎える覚悟で少年を指揮していたゲリラ戦のプロ。まさに護郷隊の村上治夫や岩波壽が今、目の前に甦ってくるような気持ちで、私は岐阜に飛んだ。 野原正孝さん、97歳、大正11年1月生まれ。護郷隊