外食大手コロワイドが定食チェーンを展開する大戸屋ホールディングス(HD)に仕掛けた敵対的買収は、株式の公開買い付け(TOB)が成立しコロワイド側に軍配が上がった。折しも人気テレビドラマ「半沢直樹」で敵対的買収が題材になったこともあり、インターネット上では「リアル半沢直樹だ」とも騒がれ注目が集まった。だが、現実の買収劇の取材を通じて目の当たりにしたのは、資本の論理に翻弄(ほんろう)される従業員の悲哀だった。【毎日新聞経済プレミア・町野幸】 【動画】コロナも影響 ホンダがF1撤退、21年シーズン限り ◇社風の違い明白 「今は不安でいっぱいです……」。TOB期限だった9月8日、成立の見通しが伝わると、ある大戸屋社員は小さな声でそうつぶやいた。手間や時間がかかる店内調理を売りに定食に徹してきた大戸屋と、合理化を徹底するコロワイド。社風の違いは明白で、大戸屋では社員の退職が相次ぎ、社内の空気は重いと