『コンビニ人間』(文藝春秋)で芥川賞を受賞し一気にブレイクした村田沙耶香さんの初の短編集『生命式』(河出書房新社)。表題作は、亡くなった人の肉をみんなで食べ、そこで合意した男女が性行為に至る「生命式」が当たり前になった近未来のパラレルワールドが舞台だ。 子供を十人産む「産み人」になれば法的に一人を殺しても許される世界を描いた『殺人出産』(講談社)や、セックスや家族が消滅し、人工授精で子供を産み無菌の家族をつくる『消滅世界』(河出書房新社)といった、性や生殖のあり方を問う作品を書いてきた村田さん。今回、自らが作品のセレクトも行った作品群に込めた思いを伺った。 村田沙耶香(むらた さやか) 1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒。2003年『授乳』で群像新人文学賞優秀賞を受賞しデビュー。2009年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、2013年『しろいろの街の、その骨の体