本年のノーベル賞が、がんの免疫チェックポイント阻害剤に与えられた。これは、免疫学の「ペニシリンの時代」の幕開けを象徴するといわれる。これは、ペニシリン開発後多くの抗生物質が開発されて感染症が死の病から治療できる病気になったことと同じように、今回受賞したPD-1とCTLA-4抗体を皮切りに、今後新しい免疫療法が開発されて、がんや自己免疫病の治療がこれから大きく進歩することへの予測と期待をこめた言葉である。今回の受賞にはそういう大きな意味があり、基礎研究による科学の進歩が医学の進歩に直接つながったことを祝福すべき出来事であった。 ところがここでエビデンスのない「免疫療法」を実施する自由診療クリニックが活気付いているようであり、またそのような根拠のない治療を正当化するような見識のない記事を書くようなライターもいるようである。これについては臨床の視点から、腫瘍内科医の勝俣範之教授が的確で良質な記事