思い出してどうしても書きたくなったので書く。 前回→ anond:20210301080225 小野不由美「魔性の子」ベストセラー「十二国記」シリーズのエピソード0なのだけれど、独立して読めるのでこれにした。 この作品に魅了された理由は二つある。一つは、二つの異世界が出会うことで起きる惨劇がSF的に面白いということ。こちらの常識が向こうには全く通じず、逆もまたしかり。ホラーではあるが、コミュニケーション不全の悲しみもある。作中の大量死の原因は、たった一つの誤解が原因なのだ。 もう一つは、主人公の未熟さが残酷なほど明らかになっていくことだ。ある意味、ファンタジーに逃避しようとする読者に喧嘩を売る態度で、後述するが僕は作者に喧嘩を売られるのが好きである。 ヤスミナ・カドラ「昼が夜に負うもの」。貧困による家族との別離、恋愛のもつれや政治的立場の相違によってばらばらになっていく幼なじみ、人妻による