社会生態学者、ピーター・ドラッカー氏のほぼすべての著作は、同一人物によって邦訳されている。ドラッカー学会代表を務める、ものつくり大学名誉教授の上田惇生氏である。ドラッカーの魅力は「私のために書いてくれた!と読者に感じさせること」だと上田氏は指摘する。しかも読者によってドラッカーの面白いところがそれぞれ違い、一人ひとりに「私のドラッカー」があるという。本欄はドラッカリアン(ドラッカーの愛読者)の方々が、「私のドラッカー」を語り、寄稿する所である。まず上田氏に登場いただいた。 上田氏は翻訳者にとどまらず、ドラッカー氏の編集者であり、情報収集の助手でもあった。ドラッカー氏は何か原稿を書くと、タイプ原稿をそのまま上田氏にファクシミリで送って意見を求めた。こうした関係を30年以上続けた結果、ドラッカー氏は上田氏について、「私より私の著作に詳しい」と評し、ある著書の前書きで上田氏のことを「私の分身」と