女性がメークアップで美しくなるためには、何重もの難関を乗り越えなければならない。まず、顔立ち。それが美しければ大抵の問題は解決するだろう。だが、それがダメなら、次は化粧の技がある。メークアップのいかんによって、顔立ちの目立たない女性でも奥行きのある美しさが添えられたり、反対にどんなに美しい人もイヤミに見えたり、時代遅れに見えたりするものだ。 ボビー・ブラウンは、金髪に白い肌、飛び出すような目立った色のメークアップが主流だった時代に、そのままの唇の美しさを活かす自然な色の口紅で世の女性の支持を得た。「こういうスタイルが美しい」という不動の定型があった世界に、それとはまったく別の価値観を、口紅という小さなところから打ち立ててみせたのだ。 ブラウンは、小さい頃から自分の外見に劣等感を抱いていたという。身長は152センチほどと低い。金髪とはほど遠い暗い茶色の髪と浅黒い肌、そして目の色も暗い。第一印
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