渋谷にて。トム・ハンクスが主演、脚本、監督をつとめた作品。学歴を理由に勤務先を解雇されてしまった主人公が、大学へ入り直し、そこで出会った人たちと交流する、というあらすじ。 主人公が量販店の仕事を解雇される冒頭のシーンから、その非現実的な描写に戸惑ってしまう。ここまで露悪的かつ無神経に、あえて従業員に不満や遺恨の残るような、いいかげんな解雇のしかたをする会社があるだろうか。物語のリアリティラインをどこに設定すればいいのかよくわからないまま見始めるのだが、主人公が大学へ通い始めてからの描写にも戸惑ってばかりだ。なぜならもっとも重要であるはずの、ヒロインの役割を担うスピーチクラスの教師から何を学んだのかがほとんど描かれていないのだ。スピーチクラスの教師が、生徒たちにどんな有用な授業をしたのかがわからない。特別に印象的なレッスンをしたわけでもなければ、主人公がそこで学んだスピーチの技術をどこかで役