ある大企業での話だ。 Eさんは、某有名私大を出て、新卒でその会社に入った。彼は真面目だったので、研修での成績がよく、希望の部署にうまく入り込むことができた。 希望していた部署は雰囲気もよく、Eさんはそつなく仕事をこなし、上司からも気に入られた。 「将来を嘱望される」とは、このことだったのだろう。 幾つかの部署を経て、ついに、Eさんは「海外営業部」への辞令を受けた。この会社においては、一部の評価が高い人は「海外営業部」に配属される。 多くの歴代の社長、役員が、この部署出身者であるため、そこで仕事をすれば、社内的に強いコネクションをもつことができ、いわゆる「出世街道」に乗ることができる。 Eさんの将来は明るいはずだった。 だが、Eさんの運命は大きく変わる。 「海外営業部」での上司と、合わなかったのである。 Eさんの上司は「仕事ができる人」の中でも、さらに「できる人」だったので、非常に多くのこと