いま、「国産小麦」が脚光を浴びていることをご存じだろうか。かつて輸入小麦より高い割に品質は劣る、とされたこともあるが、それはすっかり過去の話。もはや「国産小麦使用」というだけでは消費者の関心を引けなくなり、いつの間にか各地の特徴ある品種を売りにした商品開発がなされる時代に突入している。 背景には、もち小麦、超強力小麦、低アミロース小麦等、輸入小麦とは異なる性質を有する個性的な品種の登場がある。 実際、1973年に3.7%にまで低下していた小麦の自給率は、その後穏やかに回復し、2021年は17.0%となっている。小麦栽培に適した環境とはいえない日本において、地道に品種改良を続けてきた成果が実を結び始めていたのだ。 その一例として、日本が世界に先駆けて開発に成功した「もち小麦」の現状を探ると、意外な経緯が浮かび上がってきた。 輸入小麦に負けない国産品種が登場 小麦は多種多様な食品に加工されるが