先日、本多勝一さんの『日本語の作文技術』(講談社)の新装版を見つけて購入した。僕は、これが最初に出版されたときから愛読している。これによって自分の作文技術が確かに向上したと感じている。それは、文学的な意味での文章力が上がったというのではない。論理的な思考を表現するという意味での文章力が上がったと感じることが出来た。 僕は、数学を専門的に勉強し始めたとき、その論理を理解することに非常に苦労をした。それは今振り返ると、日本語で論理的に考えることの難しさに苦労したと言えるのではないかと思う。僕の数学における転回点は、記号論理学を勉強したときだった。それまで日本語で考えていた数学を、ほとんど記号論理に翻訳し直してみたら、嘘のように理解が進んでいった。日本語と記号論理の違いがどこにあるかというのが、その時の僕の最大の関心事になったものだ。 意味に多様性があるということは、意味を取り違えると言うことも