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  • 殺し屋女子が奏でるハードコアな血のメロディ。コミック界を爆音で突き抜ける快作「デストロ246」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! しばらく高倉健の任侠映画ばかり見ていた。  礼儀正しくて水臭い。ヤクザの世界に生きてはいるが、できれば正業に力を入れ、カタギになってまっとうに暮らしたい……ヒトゴロシなどとんでもない。そんな正義感の健さん。しかし、調子こいた悪漢どもの嫌がらせと奸計に、じつに長々と、じつに長々とガマンしたうえに怒り大爆発。山燐一などの悪漢をバッサバサとドスで斬り倒していた。  そんな日的な奥ゆかしさ、ウェットな味わい、そっと寄りそう池部良もたまらんが、今回紹介するバトルアクション『デストロ246』(高橋慶太郎 小学館)は、そんな健サン仁侠映画とは対極的な位置にある……と、最新刊の五巻を読んで思った。  敵と判断したら即座に抹殺。殺人に対するためらいなどカケラもなく

    殺し屋女子が奏でるハードコアな血のメロディ。コミック界を爆音で突き抜ける快作「デストロ246」 深町秋生のコミックストリート
  • 凛と生きる"異形"の者たちと、儚い幻想が生んだ偉大な化学反応。「五色の舟」

    南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『果てしなき渇き』を原作とした映画 『渇き。』が2014年7月4日より全国ロードショー。 今年の三指に入る名作だと思った。いきなり結論から入るが。  近藤ようこの新刊『五色の舟』(原作・津原泰水 KADOKAWA)である。なんとも言えない美しさを秘めた作品だった。  原作は津原泰水の短編集『11』(河出文庫)に収録された短編だ。同作品は第2回Twitter文学賞を受賞。なかでも短編「五色の舟」は高い評価を受けており、最高傑作との呼び声が高い。  舞台は戦争末期。抑圧的で先の見えない時代に、見世物小屋の一座として糊口をしのぐ、“異形の家族”がいた。両足を脱疽で失った元花形役者だったお父さんこと雪之助を筆頭に

    凛と生きる"異形"の者たちと、儚い幻想が生んだ偉大な化学反応。「五色の舟」
  • 破滅と捨身の人間讃歌「人間仮免中」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 先日、巨匠ウィリアム・フリードキン監督の新作『キラー・スナイパー』を見た。まずは映画の話から。すごい作品だったので。  邦題には“スナイパー”などとつくが、狙撃シーンは全然ない。(原題は『Killer Joe』)ジェイソン・ステイサムあたりが暴れ回れそうなタイトルを無理やりつけているが、アクション映画ではなく、テキサスの田舎を舞台にした犯罪サスペンスで、即物的で場当たり的な人間の欲と闇を、観客にこれでもかと見せつける衝撃作だった。  テキサスヤクザと揉めて、のっぴきならなくなった麻薬売人のセガレが、自分の母親を殺して保険金を得ようと、離婚した父ちゃんに話を持ちかけるところからスタート。トレーラーハウスやストリップバーでプランを練った挙句、殺し屋業を営

  • 純情というきな臭さ。目が離せない「日本をゆっくり走ってみたよ」 深町秋生のコミックストリート

    南陽市在住、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 『タクシードライバー』という映画作品がある。私がもっとも愛している問答無用の名作だ。  ロバート・デ・ニーロ演じるベトナム帰還兵の若者トラヴィスが、タクシードライバーの職を得て、荒れたニューヨークの街を流しているうちに、売春や麻薬密売や強盗などの犯罪に腹を立て、やがて知り合った少女娼婦を助けるために、彼女を働かせている悪いヒモやマフィアに挑みかかるという話。  そう書くと、なにやらかっこいい正義漢の物語のように思えるが、全然そうではない。さっそうとストリートを歩く黒人や、オシャレで都会的なユダヤ系、嘘くさい政治家、あっけらかんと身体を売る女たち。60~70年代の急激な時代の変化についていけない純朴な田舎者が、ひとりぼっちの怒りをどんどん勝手に溜めこみ

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