「新しい何か」がこわい。 それは幼い頃からずっとそうで、例えば、極度の人見知りであるために友達が出来にくい事。新しい環境になれるまでにものすごく時間を要する事。なので、友達の代わりに小さいぬいぐるみをいつも傍らに小さな防御を欠かさず、新しい学校など環境が変わる毎にいつも憂鬱だった。 校舎の裏でひとり意味もなく石を裏返しては虫を見つめたり、やるせない想いを独り言に託し土を掘って埋めたりしていた。鬱蒼と茂る雑木林の空き地やお気に入りの廃墟をアジトに、のら猫をみつけては話かけたりしていた。 そんな私が女優になった。 女優という仕事は毎日「新しい何か」が待ち受けていた。それは私にとって恐怖であり、好奇でもあった。 多分、恐怖を感じつつも好奇心の方が強かったのだと思う。 学園祭の演劇程度しか演技の経験のない私に映画の主演女優の話が来た。 オーディションに渋々向かって、渋々帰ってきた。 どうせ受かりっ
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