■1.「核の傘」はフィクション?■ ワシントンに住む国際政治アナリスト・伊藤貫氏は、かつて 米国防総省次官補(アジア政策担当)も勤めたカール・フォー ド氏に尋ねたことがある。中国の海空軍が台湾を奇襲攻撃した 事態を想定して、こう訊いたのである。 米中両国が戦争状態になり、日本にある軍事基地から米 海軍や空軍が出撃して中国の駆逐艦を撃沈し戦闘機を撃墜 すれば、中国政府は日本政府に対して「すべての対米協力 を即時中止せよ! 米軍に日本の軍事基地を使用させるな! この要求に従わないならば、24時間後に大阪に核ミサイ ルを撃ち込む!」という要求を突きつけてくる可能性があ ります。 その場合、日本の総理大臣はどう反応するでしょうか。 「アメリカの核の傘があるから大丈夫だ。中国が日本を攻 撃してくることなんかあり得ない」と言って対米協力を続 けるでしょうか。 それとも「たとえ中国が大阪に核ミサイルを撃