途上国の大半を占める「組積造」の建物の耐震化を、塗料を塗るだけで実現する。そんな画期的な塗料を共同開発したのが、山本憲二郎だ。東京大学で研究に取り組む傍ら、スタートアップで商用化を進めている。 by Keiichi Motohashi2024.03.27 5 9 2023年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震では、5万人を超す人々が亡くなった。1年が経った2024年2月現在もまだ復興の途上であり、多くの人々が困難な暮らしを強いられている。被害が拡大した大きな理由の1つは、煉瓦や石などを単純に積み上げて建てる組積造構造の建物の崩壊にある。 トルコ・シリア大地震に限らず、世界各地で発生する地震による死者の多くは、住宅などの建物の崩壊によるものだ。日本では2024年1月1日の能登半島地震の記憶が生々しいが、世界的に見ると木造住宅の延焼や津波による死者よりも、組積造の崩壊による死者の方がはるかに
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