『仮面ライダーBLACK』が「英雄神話」として読み解けるというのは、何より、仮面ライダーBLACK・南光太郎が、さまざまな面において「神話の英雄」としての相貌をもっている、ということです。それは仮面ライダーとして戦いに身を投ずることになった契機、「運命」に翻弄されつつ、それに向き合い、戦い抜いた戦歴といったことに表れていて、後に詳しく触れていきたいところです。 ただその背景として、『BLACK』の世界観自体が、すぐれて古代神話を思わせるものがあった、ということも大きいでしょう(グノーシス主義を下敷きにして製作された『仮面ライダーアギト』も神話的な雰囲気を持った作品ですね。いずれ立ち入って考察したいところです)。それがライダーの戦いの「神話的な」性格を強くしているといえます。そこでまず、作品世界全般に漂う神話的な雰囲気、そしてシンボリズムについて、見てゆきたいと思います。 それはライダーが立