「文部科学省が大学改革へ向けて提示する計画あるいは施策は、昨今、唐突とも思えるほど急激に進んでおり、大学関係者も戸惑いを隠せないというのも事実である」。これはある私立大学団体が2013年に公表した報告書の一文である。この種の文書にこうしたコメントが書かれることは珍しいが、5年後の現在、多くの大学関係者が痛感するところではないだろうか。2010年代の高等教育政策は、そういわれても仕方がないほど、矢継ぎ早に新たな施策が打ち出され、それは必ずしも現状分析や評価に基づくものではない。場合によっては、高等教育のあるべき姿を逸脱するものさえある。 常識はずれの政策提言 まず、高等教育の在り方から見て常道でない政策が細部にわたって閣議決定され、重みがあるので、修正されない、異論が出ずに突っ走ってしまうのが現在の政策形成の特徴である。典型例は、高等教育へのアクセスの平等を図るための授業料減免措置や給付型奨