100%水素エンジン車として世界で初めて24時間レースに出場したトヨタ自動車の水素エンジン車(手前)=静岡県小山町の富士スピードウェイで2021年5月22日午後、和田憲二撮影 トヨタ自動車が水素エンジン車の開発に乗り出した。カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出実質ゼロ)の実現に向けて世界各国がアクセルを踏み込む中、自動車各社の主戦場は電気自動車(EV)の開発だ。しかし、トヨタが目指すのは音や振動などの「車らしさ」を残したままのCN。エンジンをふかして脱炭素? 世界と戦う挑戦者たちを追った。 太いエンジン音はガソリン車 5月22日午後3時、静岡県小山町の「富士スピードウェイ」で始まった24時間耐久レース。隊列をなして走り出す車の中、青と白と黄に塗られた1台の「カローラ」が、100人を超す報道関係者の視線を集めていた。太いエンジン音を響かせてサーキットを駆け抜ける姿は一見、他の車と変わ